21世紀の社会学  心に残った言葉

近代科学は,本来,魔術からの解放を行うものであった。
それは神話を解体し,知によって空想の権威を失墜させ,人々を野蛮から文明へと導くはずであった。
しかし,今日,魔術からの解放を行うはずの理性が再び魔術になってしまい,
啓蒙によって,人々は新しい野蛮状態に陥ってしまっている。
つまり,科学・技術の発展が人類の繁栄ではなく,人類の消滅に向わせている。

一体,なぜ人類は新しい野蛮状態へ落ち込んでしまうのか。
ホルクハイマーらによれば,それは啓蒙が自然支配を目指す道具的理性に基づくものだからである。
人類は啓蒙によって文明を獲得し,野蛮を克服し,科学・技術による自然の支配を行おうとした。
そして,その方法を人間関係にも適用し,人間の合理的支配を目指すものとなった。

しかし,その合理性は技術的形式合理性となり,人間を疎外・物象化させてしまった。
人間の自然支配は,なるほど,人間主体の確立をもたらしたが,
同時に,人間の自然への隷属,客体への転落を引き起こしてしまった。

このようなことから,人間をモノとしてではなくて,ヒトとして,
つまり,意味・内的世界を持つ存在として捉える必要がでてくる。
これからの社会学は意味・内的世界を明らかにすべきである。
人間の意味・内的世界の積極性,創造性をより詳しく解明することが21世紀の社会学には必要となる。

放送大学教材 「21世紀の社会学」 第1章 21世紀の社会学とは (船津衛著) より抜粋


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