カウンセリングが単に教育指導のモデルによっても,
また医療モデルによってもとらえられないことは明らかであろう。
カウンセリングはまさに人間そのものを大事にする。
その結果としてある場合にはそれが心理療法として,
ちょうど他の治療法と同じような意味で効果を発揮する。
しかし治すことができないからその治療をあきらめ,
カウンセリングをしないといことは本末転倒である。
むしろいわゆる治療法が成立しない場合にも,
どれだけその人自身と付き合っていけるかということに,
カウンセリングの正念場があるといっても過言ではないくらいである。
人間の心を扱うカウンセラーは,そもそもが単なる治療者ではない。
いわんや常識的な相談相手や指導者ではなく,
相手の人間そのものとともに歩む存在だといわなければならない。
放送大学教材 「カウンセリング」 第15章 総括と人間性の問題 (水島恵一著) より抜粋